一眼レフを始めて少しするとISO感度という言葉にぶつかります。
特に一眼レフ初心者は原因がわからずにつまずいてしまうポイントではないかと思います。
一眼レフで撮った写真でも、夜や室内で撮影した写真は特にノイズが出やすくなり、撮った写真を見ると、ざらざらしていることもよくあります。
せっかく一眼レフで撮ってるのにざらついた写真になったら、へこみますよね。
そこで出てくるのが、ISO感度です。
ISO感度を設定することで、絞りやシャッタースピードを手ぶれしない数値に変えることができるので、これを知っておくと撮影の腕が上がります。
ISO感度のことを理解するために、基礎知識からISO感度の数値の違いによる写り方の違い、ISOオートと手動設定について順を追って解説していきます。
スポンサーリンク
一眼レフのISO感度についての基礎知識
まず、ISO感度の定義について見ておきましょう。
デジタルカメラの場合、ISO感度とはデジタルカメラが光をとらえる能力を表す値です。デジタルカメラは、撮像素子に当たった光を電気信号に変えて処理します。
ISO感度を上げることは、電気信号を増幅することです。ISO感度を2倍にすると電気信号は2倍になります。
引用元:Nikon Imaging
ISO感度はアイエスオーカンド、イソカンドと呼びますが、カメラの光を補う役割を果たすものです。
ISO感度はカメラに光をとらえる力を電気的に増やすということでしたが、最初のうちはどういう時に使えばいいのかわからないと思います。
ISO感度と絞り・シャッタースピードは相関関係にあり、密接につながっています。
例えば、暗いところで写真を撮りたい場合は、シャッタースピードを上げられずに手ぶれを起こしてしまうことが多くなります。
シャッタースピードを上げるためには、絞りを開放より(小さく)にすることが必要になります。
そんな時にISO感度を上げてあげると、通常よりもシャッタースピードを早くすることができ、手ぶれを防ぐことができるのです。
薄暗いところで写真を撮るのにISO感度を下げていると、シャッタースピードを上げることができずに手ぶれしてしまい、ぶれた写真となってしまいます。
そんな時にISO感度を上げておくと、シャッタースピードを上げて撮影することができるため、手ぶれなしで動きを止めて撮影することができるようになります。
ただ、注意点としてISO感度を必要以上にあげすぎてしまうと、先ほど言ったようにノイズが出てしまい、ざらついた仕上がりの写真になってしまうので注意が必要です。
カメラを選ぶ時にカタログにISO感度が書かれていますが、最近の一眼レフはエントリーモデルでも高感度耐性の高いカメラが多くなってきています。
初心者のうちはISOオートでも問題はない
ISO感度を撮影する時ごとに手動で設定できるのに越したことはないですが、ISOオートでもそれほど大きな問題はありません。
最近の一眼レフは、余計な感度設定をしないように設計も新しくなっているので、慣れないうちはISOオートで撮影に慣れることが大切です。
初期設定では基本的にISO感度はオートになっており、そのまま触っていない人がほとんどではないかと思います。
通常、ISO感度は天気や電気の具合など様々な条件によって都度変わるもので、それに合わせてカメラが判断して設定を変更してくれています。
あとで解説しますが、ISOオートではなくISO感度を手動設定にすることによってよりノイズの少なく解像度の高い写真を撮ることができるようになります。
手動で設定するので、ちょっと大変そう…と思いますが、実際そうでもありません。
ISO感度を変えて撮影した写り方の違い【屋外】
では、実際にISO感度を変えて同じ写真を何パターンか撮影した結果を紹介したいと思います。
まずは日中天気のいい明るいところで撮影して検証してみました。撮影したときのISO感度の設定値と普段使う場面はこんな感じです。
- ISO100(日中明るいところ用の設定)
- ISO1000(日陰くらいの明るさ用の設定)
- ISO2000(室内や薄暗いところ用の設定)
では、それぞれの設定値でどれくらい変わるのかを実例を見ながら解説していきます。
ISO100~2000まで数値を変えて撮影してみましたが、実際この写真の写りの違いがわかりますか?
そうなんです、ほっとんどわからないんですよね。
最近のカメラの性能によるものもありますが、日中など明るい場面ではそんなに気にはならないと言うことがわかっていただけるかと思います。
先程撮った写真を拡大して、ISO感度によるノイズや画質の違いが出るのかを詳しく見ていきます。
解像度を上げてISO100とISO2000の画像を拡大してみました。
ここまで拡大してみても、実際なかなかその違いはわかりません。目を凝らして見てみると、石の細かいディテールが少し荒く写っているということがわかるくらいです。
この比較写真を見てもわかる通り、日中明るいところでの撮影では、ISO感度を変えてもそんなに変わらないということがわかりました。
ISO感度を変えて撮影した写り方の違い【室内】
では、少し薄暗い室内での撮影ではどうかを写真を見ながら比較してみます。
今回も先程と同じ撮影条件でISO100、ISO1000、ISO2000で撮影してみました。
室内で撮影してみましたが、こちらも同じく写真として見る限りはほぼ変わりはありませんね。
ただ、室内は屋外と比べて薄暗いため、ISO感度が低い数値だと手ぶれしやすくなかなかうまく撮れませんでした。
今回の撮影時は部屋がわりと明るかったため、ISO100でもうまく撮ることができましたが、もう少し暗くなると室内撮影の難易度は上がってきます。
室内撮影のやり方やコツについては、『一眼レフで室内撮影する時の設定|暗い場所での手ぶれを防ぐ』で詳しく解説していますので参考にしてください。
目を凝らしてじっくり見比べてみると、ラベルのツヤや光り方などに少し変化はあるように感じますが、素人目にはなかなかわかるものではありません。
ISO2000までで実験をしていましたが、それほど変化が伝わらないので試しにISO6400まで感度を上げて撮影してみました。
ISO100で撮影したものとISO6400で撮影したものを比べてみました。
どうでしょうか?左がISO100で撮影したもの、右がISO6400で撮影したものの拡大になります。クリックで拡大します。
ISO100と比べると、写真にざらつきが出ており、全体的に画像が荒くなっていることが一目でわかりますね。
ISO感度の違いによる写り方の考察
作例を見ながらISO感度の設定値による写り方が変わるのかを見てきました。
ISO感度の設定値による写り方の違いをまとめました。
明るいところだとISO感度による写り方に変化はそれほどない。
暗いところや室内ではISO感度が低いと、写り以前に手ぶれしやすい。
ISO6400まで上げると拡大するとノイズが目立つ。
ISO感度は電気信号を増幅させて取り込む光を増やすので、暗いところで撮影するときに有効ですが、感度を上げすぎると本来の画質を損ねてしまいます。
ISO感度の設定を失敗した場合は補正が難しい
ISO感度の設定を失敗した場合と書くと、ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、感度を上げすぎて明るくなりすぎたりすることもあります。
そんな失敗写真でもフォトショップやライトルームのような現像ソフトを使えば、きれいに直せるかと言うとそうでもありません。
いくらRAWデータであっても、白飛びしたり黒つぶれしている写真をきれいな状態に戻そうとすることは正直難しいです。
現像ソフトで編集すると、多少なり画質を劣化させてしまいます。
なので、あらかじめ適正露出で明るさはある程度見た目に近い状態で撮影することが必要となってきます。
ISOオートを卒業すると得られるメリット
ISOオートを卒業して手動設定で撮れるようになると、どんなメリットがあるのかをまとめてみました。
ISOオートでも十分にきれいな写真は撮れるのですが、よく見てみると、素人感が抜けない写りになっていることもよくあります。
ISOを手動で設定できるようになると、その場面に見合った設定で撮影することができるので、少し一眼レフに慣れてきたなぁと思ったらぜひ挑戦してみてください。
では、ISOオートを卒業することで得られるメリットを紹介していきます。
高画質で撮れてノイズを減らせる
まず、1つ目に高画質で撮れるようになります。
え?一眼レフは高画質じゃないの?って質問がきそうですが、その高画質を邪魔しているのが実はISO感度なんです。
ISO感度は電気信号で写真を加工しているようなものなので、感度を上げるほど元の写真データにノイズが入って画質が失われています。
ファイルの容量などには現れないので、気づきにくいです。
しかも、ISOオートにしていると撮影する時も自動設定となっているため、気にしていないと気づくことができません。
同じ写真でもISO感度を下げて撮るのと、上げて撮るのではパソコンなど大画面で見たときの高精細さががらっと変わってきます。
パソコンに画像を転送した時、モニターで見るとなんかくっきりしてないなーと思ったことはありませんか?
それは、きっとISO感度が高すぎることが原因です。
手動で決めて撮れば、そのノイズもだいぶん抑えることができるようになります。
見たままの明るさで写真が撮れる
晴れの日に外で撮る時にISOオートにしていると、撮影した写真がISO1000とかになっていることもよくあります。
実際、晴れの日であればISOは100程度で問題ありませんが、日陰に入ったりするとカメラは暗いと判断するため場所によってはISO2000近くまで上がっていることも多いです。
ISO100で撮ると、高精細に写るところをわざわざ高い数値に上げて撮っていることになります。
不必要にISO感度を上げる必要はないのですが、慣れないうちはそんなことわかりませんよね。
ISO感度を自分で決めると、今見ている明るさで撮りやすくなります。
絞り、シャッタースピードがわかる
ISO感度はシャッタースピードを速くすることができ、絞りを開いても(F値を小さくする)同じようにシャッタースピードを速くすることができます。
しかし、実際これらの情報ってわからない人が多いんです。
なぜなら、その設定を理解できていないからですね。
ISOオートを卒業すると、一眼レフの二大設定とも言える絞りとシャッタースピードのことがよくわかるようになります。
この設定が理解できれば、ぐんとレベルの高い写真が撮れるようになり、一石二鳥とも三鳥とも言えます。
手ぶれを抑えられる
ISO感度が手ぶれを制す
こう言っても過言ではありません。
ISO感度をうまく設定することができるようになれば、手ぶれに対する対策もとりやすくなります。
あなたは普段撮影する時にこんなアイコンが出たことはありませんか?
この状態で撮影すると、手ぶれの恐れがありますよとカメラが教えてくれているんですね。
これをISO感度や絞りを変えていくことで、このマークを消すことができます。
ISO感度を手動設定する時の目安
ISO感度を手動で設定する時、どのくらいで設定したらいいかってなかなか難しいんです。
同じ場所でも向いている角度によっても光の当たり方が変わってくるので、確実にコレ!って数値は言えませんが、だいたいの目安を紹介しておきます。
場面 | ISO感度の目安 | 注意点 |
---|---|---|
天気のいい屋外 | ISO100 | 明るくなりすぎないように露出調整 |
曇り空の屋外 | IS0100〜320 | 暗い場合は露出を調整 |
日陰など少し暗い場所 | ISO400〜800 | 角度によっては暗いため、調整する |
室内・体育館 | ISO800〜2000 | 絞りも開いてシャッター速度を確保 |
夜の室内 | ISO2000〜 ISO3200 | 絞りも開いてシャッター速度を確保 |
夜景など | ISO100 | 手持ちではなく三脚必須 |
おおよそこの設定値で問題はありませんが、角度や天気の変化で明るくなりすぎたり、暗い場合は適宜調整してください。
夜景撮影の場合は、手持ちで撮影すると必ずと言っていいほど手ぶれしてしまうので、必ず三脚を使用するようにします。
また、三脚に固定して撮影することになるので、手ぶれ補正はOFFにすることとあればレリーズを使って撮影するとさらに手ぶれをなくすことができます。
一眼レフのISO感度【まとめ】
ISO感度のざらつき対策ですが、初心者は迷うことなくまずは何も考えずにISOをオートにしてしまいましょう。
一眼レフなら、オート以外ならどのモードでもISO感度を個別に設定することができるようになっています。
オートで撮っていると、このシーンなら100とか夜の室内なら6400まで上がっているなぁとかがよくわかると思います。
ただ実際に必要でないところでも、感度を上げることもありますので、ある程度コツをつかんできたらその都度設定してあげる方がいいと思います。
実際の写真を見ておわかりいただけたかと思いますが、ISO2000くらいであれば肉眼で見てもそれほどノイズや画質の劣化はありません。
特に私のようにくっきり解像している写真が好みだという方は、ISO感度の上げすぎは大敵です。勝手に上げられるとノイズだらけな写真になってしまいますから・・・
せっかく高画質できれいな写真が撮れる一眼レフです。うまく使って、一眼レフの性能をフルに発揮させてあげましょう!