高い値段の一眼レフを買っても、手ぶれしてしまっては意味がありません。
どれだけいい写真を撮っても、その写真が手ぶれしていてはそれだけで台無しの写真になってしまいます。
手ぶれは被写体が動いて起こるだけではありません。
手ぶれは防ぐことができます。
被写体側の問題と撮影者側の問題の2つに分けて、手ぶれの原因と対策をまとめました。
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一眼レフで手ぶれしてしまう5つの原因
せっかく一眼レフを買ったのに、手ぶれした写真が多いのでは本末転倒です。
一眼レフはコンデジと比べると、手ぶれしやすい構造となっています。
センサーサイズにもよりますが、センサーが大きくなればなるほどピントの範囲はシビアになります。
ピントが合いにくいので、その分手ぶれしやすくなってしまいます。
一眼レフで手ぶれしてしまう原因を大きく5つに分けて説明します。
カメラの構え方が悪い
1番よくあるのがこのケースです。
一眼レフはコンデジと比べると重く、もバランス良く持たないとすぐにバランスを崩してしまいます。
意外とできていない人が多いのがこの構え方で、手ぶれの1番の原因の8割はカメラの構え方で決まると言っても過言ではありません。
脇を締めてカメラを構えることが一番重要です。
一眼レフの正しい構え方については、こちらの記事でも解説していますので、参考にしてください。
シャッタースピードが遅い
シャッターを開いている時間が長くなるほど、手ぶれはしやすくなります。
特に夜景などを撮影する時は、シャッタースピードを落として撮影することが増えます。
手持ちで撮影していると、どうしても手ぶれしやすくなります。
夕暮れ時や室内での撮影時も、手ぶれしやすいシチュエーションです。
ファインダー内に出てくる手ぶれマークを気にしながら撮影するようにしましょう。
手ぶれマークが出てきている時は、手ぶれのサインです。
カメラ側の設定を見直す必要があります。
絞りすぎている=F値が高い
絞りを絞る(F値を高くする)と、シャッタースピードが下がり、より手ぶれしやすくなります。
背景をぼかしたくない場合は、F値を上げて撮影する必要があります。
ただ、F値を上げすぎるとシャッタースピードがかなり遅くなります。
つまり、手ぶれしやすいということになります。
シャッタースピードが遅くなる=シャッターを切るまでの時間が長くなります。
F8より絞っている場合は、絞りの設定も見直してみると改善されることがあります。
ISO感度が低い
ISO感度が低いと、ノイズも少なくより高画質で撮ることができます。
でも、これはあくまで晴れの日の屋外や光が十分にある環境の中の話です。
室内や日陰などではシャッタースピードが遅くなりがちです!
なので、シャッタースピードを速くするためにこのISO感度を調整してやる必要があります。
ISO感度については、『今さら聞けない一眼レフのISO感度』で詳しく解説していますので、よくわからない方は参考にしてください。
被写体が動いていて起こる『被写体ぶれ』
子供の手ぶれ写真
新幹線の手ぶれ写真
子供や動いているものを撮るときによく起きることですが、撮ろうとしている被写体(モデル)が動いてぶれてしまうケースです。
これを一般的に『被写体ぶれ』と言います。
子供を撮ろうとする時、よく動くし、基本止まってくれません。
ある程度仕方がないとも言えますが、シャッタースピードやISO感度を上げることによって防ぐことができます。
被写体ぶれの対策については、あとで詳しく解説していきます。
手ぶれしないシャッタースピードの目安は?
シャッタースピードの計算方法はいろいろあります。
一番シンプルな考え方は、レンズの焦点距離と同等以上のシャッタースピードを確保するということです。
先ほど解説したような手ぶれマークがつくときは、必ずシャッタースピードが不足しています。
例えば、50mmの焦点距離のレンズを使っているなら、シャッタースピードが1/50以下になっていると手ぶれマークが出てきます。
F値とISO感度などの設定を見直して、この数値を1/50以上のシャッタースピードにすることができれば、手ぶれする確率はぐんと下がります。
被写体ぶれを抑えるための3つの対策
被写体が動くことで起きる『被写体ぶれ』は、モデルに止まってもらうことが一番簡単で効果的です。
特に子供を撮るときは、ちょこちょこと動き回ってまともな写真が撮れないことが多いですよね。
子供も4歳くらいを超えてくると、こちらの呼びかけに反応してくれるので撮りやすくなります。
ただ、2歳くらいで歩き始めたときは正直大変です。
声かけをしてポーズをとってもらう
年長さんや小学生くらいだと、ポーズを取るようにお願いするとスムーズに撮影ができます。
撮り終わった写真を見せて、褒めてあげることも大切です。
かっこいい、かわいいと言われたら子供は喜びます。
褒めてもらえたら、また撮りたいと思ってくれるようにもなります。
会話が通じない小さい子供や赤ちゃんは、アンパンマンやキャラの人形やおもちゃをカメラのそばに置いたり、近くで持ってもらうことで思わぬいい笑顔が撮れたりします。
カメラのシャッタースピードを上げる
子供のように動き回って、止まってくれない場合は、シャッタースピードを上げましょう。
1/200〜1/500秒くらいまでシャッタースピードをあげることで、どんなに動き回っていてもピタリと写し止めることができます。
動きを強調した写真は撮れませんが、手ぶれしてしまうよりはましですよね。
この写真は、シャッタースピードを1/500秒まで上げて撮影しました。
結構真剣に走らないと追いつけないくらい全力で走っていましたが、ピタッと写し止められています。
シャッタースピードを上げることが、手ぶれ写真をなくすための一番手っ取り早い方法です。
F値とISO感度を上げる
シャッタースピードを上げたいときにあわせて見直したい設定が、絞りとISO感度です。
暗いところでは特に思うようにシャッタースピードを上げられない場面が出てきます。
シャッタースピードを上げるためには、F値(絞り)とISO感度の数値を変えます。
そうすれば、より速いシャッタースピードを使うことができるようになります。
F値については、『一眼レフで背景をぼかした写真の撮り方』で詳しく解説していますので、絞りの基礎についてはこちらを参考にしてください。
ISO感度については、こちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
普段はISO感度はだいたいの方がオートにされているかと思いますが、少し慣れてきてオートの設定を卒業した方がつまづくのがこのISO感度です。
晴れた日中であれば、ISO100程度で問題ありませんが、薄暗い室内などではISO800や場合によっては1600程度まで上げてみると、手ぶれは改善されることが多いです。
オートで撮っていると、カメラ側で無駄に6400くらいまで上げてしまうこともあります。
撮影する明るさがコロコロ変わらないのであれば、手動で設定すると失敗も減らせます。
撮影者が意識しておきたい手ぶれ対策
カメラ側の設定だけではなく、撮影者自身で起こる手ぶれを抑えるための対策も必要になってきます。
カメラの設定をどれだけちゃんとやっても、撮影環境が悪いと手ぶれをなくすことはできません。
カメラの構え方を見直す
一眼レフを両手で構える時に脇をしっかりと締めるように意識してみてください。
脇が空いた状態で構えていると、シャッターを押す時にどうしても不安定になりがちです。
しかし、脇を締めた体勢で構えるようにすると、シャッターを押す時も安定するようになります。
慣れるまでは体勢がしんどいと思うこともありますが、慣れてくるとそれが普通になります。
最初のうちは筋肉痛になるかもしれませんが、がんばってみてください。
明るいレンズを使う
簡単に言えば、レンズを変えるということで手ぶれの確率は減らすことができます。
明るいレンズ(F値の低いレンズ)に変えてみるだけで、ぐっと撮影はしやすくなります。
そもそも手ぶれをする=シャッタースピードが追い付いていない
ということなので、シャッタースピードを上げてあげることで改善できます。
ただ、シャッタースピードを上げるには絞り(F値)を低くしてやる必要があります。
そのために、F値の低い明るいレンズに変えるというわけです。
単焦点レンズならその問題を簡単に解消することができます。
背景をがっつりぼかした写真を撮るのも、明るいレンズが必要になります。
キットレンズでうまく撮れないと悩んでいる方は、明るい単焦点レンズに変えるだけで今まで撮れなかった写真が撮れるようになりますよ。
あると助かるカメラの手ぶれ防止グッズ
カメラの手ぶれを防止できるグッズなんかもあります。
使いやすくて入門編の手ぶれ防止グッズを3つご紹介します。
- 三脚
- 一脚
- スタビライザー
中でも、誰でも簡単に使えるのが三脚と一脚です。
カメラを固定するだけで面倒な設定は特に必要ありません。
手ぶれ防止に役立つおすすめ三脚
三脚はたくさんありますが、コスパと性能を両立していていいなと感じたのがK&F Conceptの三脚です。
- 材質がアルミ製
- 最大積載重量は8kgまで
- 自由雲台でアングル自在
- ローアングル撮影にも使える
収納した時のサイズが46cmしかないので、持ち運びしやすいところも魅力的です。
1万円を切る値段で買える三脚でこのクオリティはなかなかないと思います。
手ぶれ防止に役立つおすすめ一脚
一脚は、ちょっと持ち運びたい時に手軽にカバンに入れておくことができます。
重心を1カ所で支えられるので、カメラ側の手ぶれのリスクは最小限に抑えられます。
三脚を持って行くほどではない時に便利です。
ベルボンのUltra Stickは、かなりコンパクトで慣れたらさっと取り出せるのでもしもの時でもすぐ使えます。
実際使ってみた感想は、こちらの記事をご覧になってください。
動画撮影にも使えるスタビライザー
スタビライザーは通常、動画撮影の時に使われますが、静止画でも使えます。
ハンドグリップ付きで滑りにくい設計もポイントです。
スタビライザーがあれば、手持ちで撮影する時の手ぶれは減らすことができます。
三脚や一脚を出せない時には、さらにコンパクトなスタビライザーは便利です。
手ぶれでわざとぼかす演出もおもしろい
ピントの甘い花の写真
チューリップの写真
晴れた日に花を撮るときなどは、あえて手ぶれした写真の方が柔らかい雰囲気を出せることもあります。
手ぶれやピントの甘い写真は、ゆるくふんわりした写真になります。
わざと手ぶれしやすいシャッタースピードで撮影することもおもしろいテクニックです。
シャッタースピードを遅くするか、マニュアルフォーカスに変えるとわざと手ぶれさせたような写真が撮れます。
子供の写真も露出を上げて、明るめの雰囲気で手ぶれを狙うとよりかわいさを引き立たせることができますよ。
手ぶれした写真を直す方法
手ぶれしてしまった写真は基本的に直すことはできませんが、PCのソフトで手ぶれを直せる方法を見つけたので、紹介します。
SmartDeblur(Win・Mac対応)を使えば、ピンボケ写真をくっきりピントのあった写真に直すことができます。
シェアウェアなので、無料トライアルの場合は加工画面に透かしが入ってしまいますが、効果を得られたらお金を払っても十分に元がとれるソフトです。
加工前の写真
加工後の写真
公式サイトに載っている作例はちょっと極端な例ですが、このようにピンボケ写真をくっきりピントの合った写真に修正することができます。
昔に撮った写真でいい顔をしているのに、ぼけてしまっているときは修正するというのも1つの手ですね。
ソフトの詳しい使い方については、GigaZineに詳しく図解されているので、参考にしてみてください。
一眼レフの手ぶれ【まとめ】
一眼レフはその高画質さゆえに、手ぶれしてしまうとせっかくの写真でも一気に見劣りしてしまいます。
構え方やカメラの扱い方、設定を理解しておくことで手ぶれ写真は減らすことができます。
晴れた日の屋外は手ぶれすることもそれほどありませんが、木陰など日陰に入るだけで一気に手ぶれしやすくなってしまいます。
室内になると、さらに手ぶれの危険はグッと上がります。