広角レンズと言うと、18mmから30mmくらいまでの焦点距離のレンズのことを指しますが、カメラを買ったばかりで最初に手を出す人はあまりいません。
一眼レフを初めてまだ慣れない人が最初に買うレンズは単焦点レンズをはじめとした標準レンズが使いやすいので、いきなり広角レンズを買おうと言う人は少数派かもしれません。
でも、広角レンズは名前の通り広い画角で見ている景色を撮影することができるので、風景写真や水族館などの狭い場所で使う時にはその威力を発揮します。
スマホで撮る写真も焦点距離が16mmから24mmくらいの広角なので、意外と見慣れた画角で撮れるレンズで魅力を感じる人も多いのが広角レンズのいいところです。
一度使うと広角レンズの魅力にはまってしまう人(私)もいるので、Canonの一眼レフにおすすめしたい広角レンズを性能・値段別で紹介していきます。
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Canonのおすすめ広角レンズの早見表
Canonのおすすめ広角レンズ6本の値段、簡易スペックを一覧表にしました。
値段の比較をするとき、楽天市場は意外に安い値段で売っているショップがあるのでチェックしておくのがおすすめです。
アマゾンに比べて、タイムセールやお得に変えるタイミングが多いので比較検討の際は見てみてください。
レンズ名 | 実売価格 | 焦点距離 | F値 | 手ぶれ補正 |
EF16-35mm F4L IS USM | 10万〜12万 | 16〜35mm | F4 | あり |
EF24mm F1.4L II USM | 16万〜18万 | 24mm | F1.4 | なし |
シグマ 24mm F1.4 DG HSM | 9万〜10万 | 24mm | F1.4 | なし |
EF-S24mm F2.8 STM | 1万〜2万 | 24mm | F2.8 | なし |
EF24mm F2.8 IS USM | 5万〜6万 | 24mm | F2.8 | あり |
シグマ 18-35mm F1.8 DC HSM | 7万〜8万 | 18〜35mm | F1.8 | なし |
性能重視で選ぶCanonのおすすめ広角レンズ
EF16-35mm F4L IS USM
絞り羽根枚数 | 9枚 |
最短撮影距離 | 0.28m |
開放F値 | F4 |
手ぶれ補正機構 | あり |
フィルター径 | 77mm |
レンズ構成 | 12群16枚 |
焦点距離 | 16〜35mm |
フォーカス | AF/MF |
最大径×長さ | 82.6×112.8mm |
重量 | 615g |
- 市場流通価格:10万〜12万円
- 発売日:2014年6月
- フルサイズ対応:対応
- 特に向いている撮影:風景、屋外撮影全般
デメリット
Lレンズなので値段が高めで、広角レンズとしては重量が重いです。レンズの性能の高さもありますが、レンズ単体の重量で見ると、望遠レンズ並みの重さとなっています。
交換用レンズとして持ち歩く機会が多い人は、カバンに入れるだけでも結構な重みになっているので携帯性の高いレンズではありません。
メリット
Canonが誇る高級レンズの代名詞としても有名なLレンズで、その画質や描写力は安めのレンズと比べると桁違いです。
F4通しなので、室内や薄暗いところでも手ぶれを減らすことができ、ズーム域35mmまでカバーしているのでAPS-Cであれば標準レンズとして使うこともできるお得なレンズです。
画質も良く、解像感も高いのでカリカリな描写も得意なLレンズで、所有欲もバッチリ満たしてくれるところがおすすめです。
EF24mm F1.4L II USM
絞り羽根枚数 | 8枚 |
最短撮影距離 | 0.25m |
開放F値 | F1.4 |
手ぶれ補正機構 | なし |
フィルター径 | 77mm |
レンズ構成 | 10群13枚 |
焦点距離 | 24mm |
フォーカス | AF/MF |
最大径×長さ | 83.5×86.9mm |
重量 | 650g |
- 市場流通価格:16万〜18万円
- 発売日:2008年12月
- フルサイズ対応:対応
- 特に向いている撮影:子供、星、花、ペット、スナップ写真
デメリット
デメリットとしては値段が高いことだけです。
市場の相場価格を見ても、16万円を超えているので、すぐに手が出るレベルのお値段とは言い難いですよね。
単焦点レンズにしては高いですが、画質・性能で考えると妥当な値段であるとも言えます。
メリット
F1.4の大口径の開放時のボケ味のレベルは高いです。ボケ感も良いですが、周辺部の画質はシャープに写ります。
絞れば画質が良いのは、このクラスの単焦点レンズなら珍しくありませんが、開放時のピントの合った部分のシャープさは優秀です。
手ぶれ補正はありませんが、F1.4の明るさでシャッタースピードを稼げるためなくてもそれほど問題はありません。
広角レンズ特有の歪みも抑えられており、集合写真にも使える万能単焦点です。
明るい広角レンズなので、星景写真の撮影にもバッチリです。
フルサイズ対応・USM搭載でピント合わせも静かで速く、撮りたい瞬間を逃さないところも初心者には特に使いやすいレンズです。
シグマ 24mm F1.4 DG HSM
絞り羽根枚数 | 9枚 |
最短撮影距離 | 0.25m |
開放F値 | F1.4 |
手ぶれ補正機構 | なし |
フィルター径 | 77mm |
レンズ構成 | 11群15枚 |
焦点距離 | 24mm |
フォーカス | AF/MF |
最大径×長さ | 85×90.2mm |
重量 | 665g |
- 市場流通価格:9万〜10万円
- 発売日:2015年3月
- フルサイズ対応:対応
- 特に向いている撮影:子供、星、花、ペット
デメリット
値段帯、質感はレベルが高いこのレンズですが、デメリットとして挙げるなら、AF性能と防塵・防滴設計ではないことです。
AFも遅くて使いものにならないというわけではなく、あくまでキヤノン純正レンズと比較すると、遅めで正確性では劣るというくらいです。
1つ前に紹介した同等クラスのEF24mm F1.4L II USMと比べると、純正のAFのレベルが高いため、こちらのレンズが性能では劣りますが、必要十分です。
ただ、防塵・防滴設計とはなっていないので、アウトドアで使う場合など取り扱いには注意が必要な点はデメリットと言わざるを得ません。
メリット
AF性能では純正Lレンズに劣ると言いましたが、画質面で周辺減光が少なく、周辺の解像度が高いのはシグマに軍配が上がります。
シグマのレンズは独特のカリカリとした解像感を持っており、高級レンズに分類されるArtラインのこのレンズも同様にその画質レベルは高いです。
値段を考えると、純正Lレンズの半分近い値段で買えてフルサイズでも使えるので、長い目で考えるなら1本持っておいて決して損はないレンズです。
値段重視で選ぶCanonのおすすめ広角レンズ
EF-S24mm F2.8 STM
絞り羽根枚数 | 7枚 |
最短撮影距離 | 0.16m |
開放F値 | F2.8 |
手ぶれ補正機構 | なし |
フィルター径 | 52mm |
レンズ構成 | 5群6枚 |
焦点距離 | 24mm |
フォーカス | AF/MF |
最大径×長さ | 68.2×22.8mm |
重量 | 125g |
- 市場流通価格:1.5万〜2万円
- 発売日:2014年11月
- フルサイズ対応:APS-Cのみ
- 特に向いている撮影:子供、花、ペット、風景、スナップ写真
デメリット
このレンズのデメリットは性能面では特にありません。
あえて言うなら、コンパクトすぎることと手ぶれ補正が付いていないことくらいです。
レンズの重量が125gしかないので、手が滑って落としてしまったりする恐れがあると言うことくらいです。
一般的な24mm単焦点レンズの重量が、400g以上ある中で小さく軽すぎるため、取り扱いに注意が必要です。
F2.8とレンズが明るいので、手ぶれ補正がなくても問題はありませんが、あえてのデメリットとして紹介しました。
メリット
軽量コンパクト、明るい、寄れると初心者から中級者まで幅広く使えるのがこのパンケーキレンズのおすすめポイントです。
2万円を切るコストパフォーマンスの高さも売りです。
ただ値段が安いだけの撒き餌レンズとは違い、描写性能も良く、風景から子供の撮影まで何にでも使えます。
残念ながらフルサイズには対応していませんが、最初に買い足すレンズとしては、単焦点・明るい・高画質・安いとメリットが多いのでAPS-Cユーザーにはおすすめの広角レンズです。
EF24mm F2.8 IS USM
絞り羽根枚数 | 7枚 |
最短撮影距離 | 0.2m |
開放F値 | F2.8 |
手ぶれ補正機構 | あり |
フィルター径 | 58mm |
レンズ構成 | 9群11枚 |
焦点距離 | 24mm |
フォーカス | AF/MF |
最大径×長さ | 68.4×55.7mm |
重量 | 280g |
- 市場流通価格:5万〜6万円
- 発売日:2012年6月
- フルサイズ対応:対応
- 特に向いている撮影:子供、室内撮影、夜景、風景、スナップ写真
デメリット
建物など直線の目立つ物を撮る時に、歪曲が出やすいことがあります。
周辺光量落ちも絞ると改善されますが、F4くらいまでを良く使う場合は周辺光量落ちが出ることが多いので、レタッチで補正するなど場合によっては修正が必要です。
太陽などの強い光源を入れ込むと、ゴーストが出ることもありますが、修正も効くのでさほど気になるレベルではありません。
開放より少し絞り気味で使う方が性能を発揮しやすいレンズであると言えます。
メリット
フルサイズ対応レンズで6万くらいで買えるところは大きなメリットと言えます。
USMでAFは静かで速く、ISがあるので手ぶれ補正もバッチリです。
レンズフードにロック機構がついていたり、距離目盛がついていたりとかゆいところに手が届く機能が多いところは初心者でも安心ですね。
ISでシャッタースピード1/10でもかっちり止まってくれるので、動き回る子供の撮影でも安心です。
フルサイズでは格安レンズなので、EOS6D系には特におすすめしたいレンズです。
高感度耐性の強い6Dと合わせれば、暗所や夜景撮影でフルにこのレンズの性能を発揮することができますね。
シグマ 18-35mm F1.8 DC HSM
絞り羽根枚数 | 9枚 |
最短撮影距離 | 0.28m |
開放F値 | F1.8 |
手ぶれ補正機構 | なし |
フィルター径 | 72mm |
レンズ構成 | 12群17枚 |
焦点距離 | 18〜35mm |
フォーカス | AF/MF |
最大径×長さ | 78×121mm |
重量 | 810g |
- 市場流通価格:7万〜8万円
- 発売日:2013年6月
- フルサイズ対応:APS-Cのみ
- 特に向いている撮影:子供、室内撮影、スナップ撮影
デメリット
このレンズはズームレンズなので、単焦点レンズと比べて重いです。
APS-C専用レンズですが、重量が800gを超えているので、持ち運ぶには少し重いと感じることもあります。
ただ、18mm、24mm、28mmの3本のレンズを1つでまかなえると考えると、仕方ないかと思えるので普段使いにずっとカメラに付けっ放しでも問題ありません。
メリット
開放からF1.8通しなので、ズーム全域で明るく、どの焦点距離でもがっつり背景をぼかしたり、シャッタースピードをあげることができます。
手ぶれ補正はついていませんが、F1.8の明るさで手ぶれ補正がなくてもそれほど困ることもありません。
レンズ3本分で8万円以内でおさまるので、考え方によってはかなりお得に買えるレンズです。
背景をぼかして子供をふんわりした雰囲気で撮るのもよし、暗所での撮影も強く、絞って風景写真を撮るもよしの万能レンズと言えます。
広角レンズの特徴と使い方
広角レンズはその名の通り、角度が広いレンズになり、目に写っている視界よりも広く写すことができるレンズのことを言います。
スマホ横向きで撮っても入りきらない部分までしっかり写ります。
それが、広角レンズの醍醐味です。
広角レンズと一口に言っても、イメージセンサーのサイズによってずいぶんと変わってきてしまうので、センサーによる画角の違いについては、表を参考にしてください。
レンズ / センサーサイズ | マイクロフォーサーズ(×2.0) | APS-C(×1.5) | フルサイズ |
---|---|---|---|
広角レンズ | 20mm〜48mm | 15mm〜36mm | 10mm〜24mm |
標準レンズ | 56mm〜140mm | 42mm〜105mm | 28mm〜70mm |
望遠レンズ | 200mm〜1200mm | 150mm〜900mm | 100mm〜600mm |
フルサイズの画角が基準なので、APS-Cやマイクロフォーサーズで使う場合は、表に書いてある通り、焦点距離が長くなります。
広角レンズの特徴
広角レンズには、大きく分けて2つの特徴があります。
他のレンズにはない広角レンズ独特の持ち味というべき特徴ですが、
- 見た目以上に広く写せる
- 遠近感を持たせることができる
この2つが大きな特徴です。
まず『広角』と言っているので、そのままですが、とにかく自分が見ている景色よりもさらに広い範囲を写せることが特徴です。
場合によっては、写ってほしくないところまで写ってしまうので、最初のうちは練習が必要かもしれません。
また、写真に遠近感を持たせることができるのも広角レンズ独特の持ち味と言えるでしょう。
遠近感(=パースペクティブ)とは、基本構図でも解説している放射構図を使う時に、強調されるもので、奥行きが出やすくなります。
見た目以上に写真に迫力が出るのもこのレンズならではの演出と言えます。
実際にトンネルを広角レンズで撮った写真を見てみましょう。
出口に向かってかなり遠近感が出ており、出口が遠く見えるのではないでしょうか?実際目で見ると、こんなに遠くはありません。
これが広角レンズのパースペクティブと呼ばれる効果です。
広角レンズの使い方
広角レンズは、見た目以上に広い範囲を写すことができるという特徴から、風景写真には最適です。
標準レンズや中望遠レンズで風景写真を撮っても、印象的な景色でも何か物足りないと思うことがあるはずです。
見ている範囲と写真として切りとれる範囲が狭いので、せっかくのダイナミックさを伝えることができなくなります。
また、広い範囲を写せることの応用として、狭い場所で人と背景を入れて撮りたい時にも使えます。
例えば、水族館や動物園など人が多くて、モデルとなる被写体との間を広く取れない時など、広角レンズであれば狭い場所でも広く撮ることができます。
- 風景写真をより広く写したい時
- 狭い場所で後ろに下がれない時
- 室内などで人と背景を同時に入れて撮りたい時
広角レンズのポイントは、
いかに広く写すか です。
人を撮るポートレート撮影では、人を中心にフレームに入れますが、背景と人を同時に入れたい時に場所によっては標準レンズではなかなか難しいこともあります。
この辺りは使っていると、慣れてくるのでまずは撮ってみることが大切です。買うと高いので、お試しの場合はレンズのレンタルサービスもおすすめです。
広角レンズは少し癖があり、値段も高めです。
一眼レフを始めたばかりの初心者というよりは、少し慣れてきた人の買い増しレンズにおすすめです。
最初に買ってもいいのですが、普通に撮っても、背景をぼかした写真も撮れませんし、風景写真ばっかり撮らないので、そこまで使い勝手はよくないです。
ある程度慣れて、一眼レフのことをぼんやりとわかり出してきてから買う方が圧倒的に使えるレンズとなります。
構図や設定値などある程度わかっていないと逆に扱いづらくて使わなくなってしまうかもしれません。
逆に広角レンズを扱えるようになってきたら、まずは脱初心者と言ってもいいと思います。
Canonのおすすめ広角レンズ【まとめ】
広角レンズは、初めて買うレンズにはふさわしくないかもしれません。
一眼レフらしい背景をぼかした写真も撮れませんし、慣れるまでその広い画角をうまく使いこなせないこともあります。
広角レンズはクセがあるので、よく『じゃじゃ馬レンズ』と言われますが、慣れてくると他のレンズでは撮れない写真が撮れるのは広角レンズならではの醍醐味と言えます。
離れる必要がなく、至近距離で撮影することができるからです。
近くで撮っても背景を入れ込んで撮れるのは広角レンズならではの使い方です。
ぜひ広角レンズの世界を体験してみてください。