一眼レフを買った頃、レンズを変えれば違った写真が撮れるようになると知っても、何を選べばいいかわかりませんでした。
レンズは種類も多く、同じようなレンズでもスペックによって値段が全く違ってきます。
ただ、初めてレンズを買ってキットレンズでは撮れなかった写真が簡単に撮れるようになりました。
カメラはつけるレンズで撮れる写真が激変します。
この記事では、僕が昔に悩んでいたレンズ選びの経験をもとに、レンズの選び方やカタログの見方をまとめました。
値段を抑えつつ、いいレンズを探すコツがわかるので、ご覧になってくださいね。
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レンズを買う前に知っておくべき基本知識
レンズを買う前に最低限抑えておきたいことをいくつかご紹介します。
実際に僕が昔失敗したことなので、レンズ選びに慣れていない方は先に知っておきましょう。
これだけ抑えておけば、選ぶレンズの種類やスペックを絞ることができます。
マウントの統一(メーカーは揃える)
レンズは原則、同じメーカー・マウントで統一しておきましょう。
同じメーカーのレンズでも、マウントが違うとつけることができません。
マウントの種類が多いキヤノンを例にとって見てみます。
- EF(フルサイズ一眼レフ用)
- RF(フルサイズミラーレス用)
- EF-M(ミラーレス用)
- EF-S(APS-C一眼レフ用)
マウント違いのレンズをつけるには、マウントアダプターが必要になります。
APS-Cしか使えないレンズがある
先ほどのキヤノンの例でいくと、EFマウントはフルサイズに使えるので、EF-Sでも使うことができます。
ただ、反対にAPS-C用であるEF-SマウントをEFマウントであるEOS6Dなどのフルサイズ一眼レフにつけることはできません。
使えてもクロップ(トリミング)された状態になるので、レンズそのものの性能は発揮できないのです。
もともとのマウントは◎、付けられるものは◯にしています。
EF | RF | EF-S | EF-M | |
ミラーレス
EOSM100など |
×
アダプター要 |
× | ×
アダプター要 |
◎ |
APS-C一眼
EOS80Dなど |
◯ | × | ◎ | ×
アダプター要 |
フルサイズ一眼
EOS5Dなど |
◎ | ×
アダプター要 |
× | ×
アダプター要 |
フルサイズミラーレス | ×
アダプター要 |
◎ | × | × |
上位マウントから下位マウントなら、マウントアダプターを付ければだいたいは装着できます。
ただ、基本的には同じマウントで統一しておく方が選べるレンズの種類も多いので、後々楽です。
APS-Cは焦点距離が長くなる
カタログや公式サイトに載っているレンズの焦点距離(◯◯mmって書いてる)は、フルサイズの一眼レフで使った場合のものです。
フルサイズを基準にしているので、APS-Cになると×1.5倍の焦点距離になります。
ちなみに、キヤノンはセンサーが小さいので×1.6です。
勢いで50mmを買ったけど、つけてみたら随分遠いなと感じた失敗経験があります。
EOS90Dやα6400系など、APS-C機を使っておられる方はこちらの記事も参考にしてください。
焦点距離と画角を知っておく
使う目的ごとにレンズの焦点距離と画角も変わってきます。
焦点距離はレンズを買う前に必ず決めておきたい要素の1つです。
焦点距離とレンズの種類を簡単にまとめてみました。
種類 | 焦点距離 | 特徴 | こんなときに |
超広角 | 10〜20mm | 見た目以上に広く写す | 風景 |
広角 | 20mm〜28mm | 狭い場所を広く写す | 風景
室内 |
標準 | 28mm〜55mm | 見たままに写せる | 何でも |
中望遠 | 55mm〜100mm | 背景をぼかしやすい | 人物 |
望遠 | 100mm〜400mm | 遠くから撮れる | 人物
動物・乗り物 |
マクロ | 35mm〜135mm | 接写ができる | 花・虫
静止体 |
魚眼 | 5mm〜12mm | 歪んだ写真が撮れる | 風景 |
具体的に撮りたいものを決めたら、焦点距離ごとの写り方が気になりますよね。
実際にレンズを触ってみないとなかなか感覚はつかめないと思い、代表的な焦点距離別に写り方の違いを別記事にまとめました。
ズームか単焦点レンズかを決める
レンズは大きく分けて、ズームと単焦点の2種類があります。
ズームレンズはその名の通り、止まったままで焦点距離を変更可能。
単焦点レンズは、焦点距離が固定されたレンズです。
ズームは便利ですが、手の届く値段のレンズは無難なスペックのものがほとんど。
ズーム | 単焦点 | |
値段 | △ものによる | ◎安い |
画質 | △ものによる | ◎高画質 |
大きさ | ×大きめ | ◎小さい |
利便性 | ◎ | × |
レンズの明るさ | △ | ◎ |
画質や値段など単焦点レンズの方がおすすめですが、1つだけ欠点があります。
旅行やマメにレンズ交換ができないところでは、単焦点レンズは使いにくいことです。
標準ズームレンズなら、広角から標準域まで使えるので、利便性重視ならズームがベター。
ただ、暗いレンズが多いため、ぼけや暗所撮影は単焦点レンズの方が有利です。
普段使う場面を考えて、どちらかを選びましょう。
ズームでも明るいレンズは、LやGMasterなど値段も高いです。
レンズの名前とスペックの読み方
ここでは、キヤノンのレンズを例にとってレンズの読み方を解説します。
レンズの名前にはおおよそのスペックが表記されているので、レンズ名を見ればだいたいは解読可能。
では、1つ1つの項目をより詳しく説明していきます。
対応するレンズマウント
一番初めに見るべきポイントが、レンズのマウントです。
基本的には使っているカメラと同じマウントのレンズを使用します。
キヤノンは細かく分かれていますが、ソニーは2種類に統一されています。
キヤノン | ソニー | |
APS-C | EF-M(ミラーレス)
EF-S(一眼レフ) |
Eマウント
Aマウント |
フルサイズ | EFマウント(一眼レフ)
RFマウント(ミラーレス) |
持っているカメラに対応したマウントを選んでください。
今から買うなら、最近はソニーのミラーレス(Eマウント)が人気が高いのでおすすめです。
Aマウントは現在開発が進んでおらず、サードパーティー社もEマウントの開発に力を入れています。
焦点距離・ズームの有無
焦点距離とズームもレンズ選びでは大切です。
近くのものしか撮らないのに、望遠レンズは使いませんよね。
普段よく使いそうな場面を想像すると、必要な焦点距離はつかみやすいです。
いろいろな場面で使いたいなら、無難な標準域のレンズを選びましょう。
レンズの明るさ・F値
レンズの明るさは、Fで表されます。
レンズ名に書いてあるFの数字が小さければ小さいほど、明るいレンズです。
F4.5-5.6と書いてあれば、焦点距離によってF4.5〜F5.6の間まで絞りが変わるレンズということ。
開放では4.5ですが、望遠マックスの状態だとF5.6です。
ズームレンズでも明るいものはありますが、結構なお値段がします。
手ブレ補正
一眼レフの設定に慣れていない場合は、手ブレ補正がついているレンズを選ぶと間違いありません。
夕方や室内など薄暗いところでは、シャッタースピードが稼げずに手ブレしてしまうリスクが増えます。
レンズ自体に手ブレ補正機能があれば、手ブレしにくいところが魅力。
各メーカーのレンズで手ぶれ補正があるかどうかを確認するには、レンズの型番を確認しましょう。
- キヤノン → IS
- ソニー → OSS
- シグマ → OS
- タムロン → VC
レンズの型番の中にこの文字が入っているレンズは、レンズ内に手ぶれ補正機能が備わっています。
モーター・オートフォーカス性能
オートフォーカスは一眼レフによって、性能や効きは変わってきますが、レンズによっても変わります。
超音波モーターを使っているレンズは静かで高速なピント合わせができます。
各社のモーターつきのレンズには、以下の型式が含まれていますので参考にしてください。
- キヤノン → STM・USM
- シグマ → HSM
- タムロン → HLD・RXD
ただ、最近のレンズは高性能なものが多く、オートフォーカスに関してはそれほどシビアにならなくても大丈夫です。
最短撮影距離・最大撮影倍率
レンズの名前を見ただけではわかりませんが、最短撮影距離と最大撮影倍率も確認しておきたいところです。
近くによって撮った時にどう写るかを示す指標のことで、マクロレンズなど接写用レンズはいいスペックになっています。
- 最短撮影距離→どれだけ寄れるか
- 最大撮影倍率→どれだけ大きく写るか
この2つは、近くで撮った時の写り方に変化が出ます。
最短撮影距離が短いほど、近くで撮ってもピントが合うため、パースを効かせた撮影も可能です。
一眼レフの交換レンズの種類
レンズを選ぶ前にまずは、あなたが普段撮るものを想像しましょう。
何も考えずにレンズを選ぶことは時間もかかりますし、絞り込むこともできません。
風景を撮りたいのか、人だけを撮りたいのか、人と風景を一緒に撮りたいのか…など、撮影シーンによって向いているレンズは変わってきます。
- 風景 → 超広角・広角
- 子供 → 単焦点(標準)・中望遠
- 女性 → 中望遠
- もの → マクロ
他にも自然な子供の表情を遠くから撮りたいときや運動会などのイベントなら、望遠レンズもおすすめです。
超広角・広角レンズ
超広角や広角レンズは、僕たちが目で見ているよりも広い範囲を写すことができます。
中心がかなり遠く写る遠近感が特徴で、パノラマ感を出すのが得意なレンズです。
風景がメインですが、人混みで子供の写真を撮りたい時にも使えます。
標準レンズ
標準レンズは、ほぼ目で見ている感じに写すことができます。
カメラを始めたら、最初に使いたい万能レンズです。
標準レンズは一番使いやすい画角で、風景から街角スナップなど幅広く使えます。
中〜超望遠レンズ
望遠レンズは近づいて撮影できない時に便利なレンズです。
子供を写す時でも少し離れて撮れるので、自然な表情を撮ることができます。
- 〜135mmはポートレート向き
- 〜300mmは運動会やイベント向き
- 〜600mmは野鳥やレース撮影向き
望遠レンズは焦点距離によって向き不向きがあるため、どれくらい離れるかに応じて決めましょう。
マクロレンズ
マクロレンズは小さいものを大きく写すことができるレンズです。
花や虫、食べ物など肉眼で見ているよりも大きく写せます。
マニュアルでピントを合わせることがほとんどなので、少し中級者向き。
ただ、90mmくらいなら中望遠としてポートレート撮影にも使えます。
他のレンズでは撮れない写真が写せるので、1本持っていると表現が広がるレンズです。
魚眼・フィッシュアイレンズ
魚眼レンズもマクロ同様に、他のレンズでは撮れない写真が写せます。
かなり歪んで写るため、独特の雰囲気の写真が撮れるのが特徴。
魚眼レンズには2種類あり、360度の円周魚眼と180度の対角魚眼があります。
- 円周魚眼→円のような写真が撮れる
- 対角魚眼→端だけが歪曲した写真が撮れる
円周魚眼で撮ると、こんな感じに写ります。
使い道が難しいので、慣れないうちは使いにくいレンズですが、慣れると他レンズでは撮れない写真が撮れるようになります。
シーン・被写体別に最適なレンズを選ぶポイント
レンズの特徴や写り方を理解したら、あなたが実際に使う場面を想定してレンズを選びましょう。
撮りたい写真がある程度決まっていれば、レンズ選びは難しくありません。
撮影シーンや被写体別に向いているレンズをご紹介します。
子供の日常を撮るレンズの選び方
- 標準レンズが使いやすい
- 明るいレンズが理想
子供の日常を撮るなら、明るい標準レンズが無難です。
室内で撮ったり、動き回る子供を撮るにはシャッタースピードの確保が大切。
明るいレンズなら、ぼかしたり暗いところでも手ブレしにくくなります。
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運動会やレースなどイベントを撮るレンズの選び方
運動会やイベントで近くで撮れない時は、望遠レンズが便利です。
望遠レンズなら、遠くからでも高画質で写すことができます。
子供撮影用で望遠レンズを考える目安を考えてみました。
学年 | 距離の目安 | |
200mm | 幼稚園・保育園 | 〜3m |
300mm | 小学校 | 〜5m |
400mm | 中学校 | 〜10m |
※距離はフルサイズ。APS-Cは×1.5
今までフルサイズでいろいろな場面を撮ってきましたが、400mmあればだいたいは撮れます。
APS-Cならさらに小さくなるので、300mmあれば十分です。
ポートレート・人物撮影用のレンズの選び方
- 中望遠レンズがベスト
- 85〜135mmくらい
- 単焦点レンズ
人物中心のポートレート用なら、中望遠レンズが一番です。
明るい方が背景をぼかしやすいので、単焦点レンズを選ぶと安く買えます。
標準レンズだと明るくても背景がぼけにくいので少し物足りません。
子供でも女性でも85〜135mmくらいを目安に選ぶと、いい感じに写せます。
前に買った中望遠が良かったので、レビューしてみました。
風景写真を撮るレンズの選び方
風景写真は撮り方や構図によって変わるので、どのレンズでも使えます。
ただ、一般的には画角の広い超広角や広角レンズが使われることがほとんどです。
画角広い方がより風景の広大さを伝えられるため、パノラマ感が出やすいですよね。
24mmと28mmは似ているようですが、撮ってみると結構変わってきます。
虫や花を撮るレンズの選び方
虫や花、食べ物を撮るなら持っておきたいのがマクロレンズです。
ほとんどのマクロレンズは最大撮影倍率が1倍で寄れるレンズばかり。
うまくいけば、肉眼では見えない異世界のような写真を撮ることも可能です。
暗いところでも撮るなら、明るい単焦点マクロレンズを選びましょう。
星空や夜景を撮るレンズの選び方
星空や夜景用のレンズは、広角や魚眼など画角の広いものがおすすめです。
撮影は三脚を使用しますが、星空を撮る場合は明るいレンズは欲しいところ。
開放F2.8など明るいスペックのレンズだと星も写しやすくなります。
カメラを固定する三脚とレリーズリモコンも用意しておきましょう。
一眼レフのレンズの選び方【まとめ】
レンズ選びは、撮りたいものや欲しいスペックがはっきりしていれば難しくありません。
何も決めずに調べると、かなりの本数のレンズがヒットするため、何から決めたらいいかわからなくなることもありますよね。
被写体とそれを撮るのに必要なスペックから逆算すれば、レンズは絞りこめます。
ソニーとキヤノンのおすすめレンズをまとめたページを作ってみました。
レンズ選びの相談はLINEでも受け付けているので、連絡いただければと思います。